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ずぶぬれの木曜日 エドワード・ゴーリー 柴田元幸・訳2019.01.28 Monday
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「ずぶぬれの木曜日」 エドワード・ゴーリー 柴田元幸/訳 河出書房新書
雨と傘をめぐる物語がいくつか展開している。
黒ラブラドール風の犬ブルーノが、良い味を醸している。
傘見つけちゃう、子供助けちゃう、心ほっこりしそうになっちゃうほど正当な意外ストーリー!が、とっても新鮮でした。
傘の黒、犬の黒が際立っていて、すごく素敵な絵!
柴田元幸さんの解説によれば、(引用)
〜どうやらゴーリーにおいては、犬は和みの導き手であるようだ〜と。
なるほど!!
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音叉 エドワード・ゴーリー2019.01.21 Monday
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「音叉」エドワード・ゴーリー 柴田元幸・訳ゴーリーの絵本は、奇妙さがクセになる。
わけわからわからない。奇妙さがクセになる。
タイトルが「音叉」なのは?うーーーん、わからない。何度も読み返してみても、明るい気持ちにはならないストーリー。
けれど、不思議と救いないような重たい気持ちにもならないのは、妖怪が愛嬌ありかわいかったりするからか。。例えようのない不思議な後味、不思議な余韻の残る絵本。巻末には柴田元幸さんの解説付き。
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養生サバイバル〜温かい食事だけが人生を変えることができる〜 若林理砂2018.04.18 Wednesday
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「養生サバイバル」温かい食事だけが人生を変えることができる 鍼灸師・若林理砂 KADOKAW
"何も特別な調理をしようというんじゃなし、どんなに仕事が忙しくても、調理が苦手でも、そのまま食べたり、炒めたり、ゆでたりぐらいはできるはず。そう思っていたのですが、どうやらそういうことじゃなさそうだぞ・・・"と危機感を抱いた著者。
想像を絶する悲惨な食生活を送っている人が多いことを知り、Twitterで情報を集め、まとめたのが本書。
"包丁もお鍋もない。そんな人でもできる養生法をお伝えしなくては意味がない。"と、提案されている数々は、簡単で工夫と知恵がいっぱいで・・・こういう本ってなかなか他にはないよねー。
そこには著者の愛と優しいお人柄もたっぷり感じられて、心が温まる一冊です。
予約がとれない大人気の先生であること、頷けます。
砂糖がいけないとか、添加物がよくないとか・・・"○○は健康を害する"的な批判論は世間に情報氾濫している。けれど著者は、少しくらい摂っても良いのですよ〜と、全てに寛容な向き合い方にも共感。
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書店不屈宣言 わたしたちはへこたれない 田口久美子2018.01.13 Saturday
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「書店不屈宣言」 田口久美子・著 筑摩書房
興味深々で拝読。
書店員の視線で読めば、全ての章においてふむふむ。共感と発見が多かった。初版は2014年に単行本、2017年末に文庫化。
著者の田口久美子さんは、大型書店何店かでの現場経験を積んだうえで、ジュンク堂池袋店の副店長をされている。
本に携わることで痛感する"なんとかならないものか"という問題点が、明快に指摘されていると思った。
そして、何より、著者の純粋な本(そして本を取り巻く人々・環境に対しての)情愛が、すごーくすごーく伝わった。暖かい体温を感じて心地良かった。
タイトルも、とっても気に入りました!!
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文章予測 (読解力の鍛え方) 石黒圭2017.11.04 Saturday
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「文章予測」読解力の鍛え方 石黒圭・著 角川ソフィア文庫
第1章文章理解とは?
第2章予測とは?
第3章問いの予測とは?
第4章答えの予測とは?
第5章予測の表現効果とは?
読書とは・・・書かれた文章の内容を把握するなかで起きる筆者との対話であると。
そして文章の背後に透けて見える筆者と出会い、ときには共感し、ときには納得し、ときには反発するのが読書の醍醐味であり、
よい読み手になるためには文章予測が大事であるという点が5章に渡り細かに解説されている。
20作品以上の名作を題材にして順を追って丁寧に解説があるので、ふむふむなるほどと、読みやすい。
「予測」のいろいろや、「タメを作る」や「行間を読ませる」など、なーるほど。
が、なんとなくわかったけれども、んん?にはムツカシイ?と思える箇所もあったので、再度読み返したいと思った。
予測力を伸ばせば読み上手になれ、それは作文上手につながるというのも新鮮だった。
〜印象に残った部分を引用〜
優れた文章は、重層性のある問いが有機的に関連してできています。そして、その問いを解き明かそうと予測を重ねるうちに、その文章に引きこまれ、読みがひろがっていくのです。
このような深みのある文章に出会ったとき、予測を活かして文章に主体的に問いかけ、その答えを主体的に見いだす力がつけば、読解力は確実に向上します。
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にいさん いせひでこ2017.09.13 Wednesday
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「にいさん」 いせひでこ 偕成社
ゴッホの弟テオが、兄ゴッホの人生を語っている絵本。
哀しいし、重い。
ゴッホの足跡をたどり続けている著者の想いが伝わってくる文章とゴッホの生きづらさが絵に滲み出とている。
すごい本だと感動があった。
画風が他の絵本とは違っている。透明感あり淡くて優しさ溢れる他絵本とは違い、本作品は、重厚だ。
色あいも美しい色使いの中に重々しくと哀しみしっかりと表れているように感じる。そしてそんな中でも、故郷の空・麦畑には特別な清浄と広々感があるのも、胸が熱くなった。
いせひでこさんによるあとがきより抜粋
この絵本は私の中のゴッホとテオのものがたりだ。
1990年以来ずっと、オランダ、ベルギー、フランスと、ゴッホの足跡をたどる旅をつづけてきた。光と影を追いながら、どれほど生と死について考えさせられてきたことだろう。エッセイ『ふたりのゴッホ』、絵本『絵描き』、妹と共訳した伝記『テオ もうひとりのゴッホ』をへて、どうしても描きたかった兄と弟のものがたり。兄の死後、テオがオランダの母に宛てた手紙の中のことば「Ce Frere etait tout pour moi!-にいさんは、ぼくのすべて、べくだけのにいさんだったのです!」が、この絵本を制作するあいだ心をはなれることがなかった。
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絵描き いせひでこ2017.09.11 Monday
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「絵描き」 いせひでこ 理論社
詩のような文章に心惹かれた。
"絵を描きたい"という情熱が伝わってくる。
表紙の絵は、"どこかでみたことがあるような・・・"と考えていたのだけれど、
そっかー!あれだ!ゴッホの「アルルの部屋」!
この物語は、ゴッホのことを書いているのかなー?かどうかは、勉強不足で判断できないのだけれど、
いせひでこさん自身の"描きたい!"という想いも込めて重ねているのだろうなーと思えた。
素敵な本!
〜作品中ひかれた文章を引用〜
"やがて、夕焼けが、さっきの 行列を まったく べつのものにした。遮光のなかで 太陽の花が、まるでひるの 満点の星だ。時とひかりが風景の表情をこんなにもかえるんだ。描きたい、とおもった"
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わたしの木、こころの木 いせひでこ絵・文2017.09.07 Thursday
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「わたしの木、こころの木」 いせひでこ・絵文 平凡社
いせひでこさんが心を寄せてきた木の12の語り。
幼い頃の思い出の木、震災で出会った木も、家の中の木・・・など。
月刊誌の連載1年間をまとめたものだそうだ。
絵が放つ柔らかな光に魅了されるのはもちろん、文章もとても素敵。
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特によいなぁと惹かれた部分〜抜粋
そこには、前の日になかったものが
まっていたりしてー
生まれたての夏
木もれ日のあかちゃん
水玉もようの雨の影
板一面のしましまもようは
この木がすごしてきた歳の数。
線と線のあいだにあるのはケヤキの一年。
どれひとつ同じではない 春夏秋冬。
気圧配置図のように 明快に
島を浮かべた海図のように 物語に満ちて、
人はこんふうにはっきりと
自分の一生を示すことができるだろうか。
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1000の風1000のチェロ いせひでこ2017.09.02 Saturday
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「1000の風1000のチェロ」 いせひでこ 偕成社
この作品では、えんぴつデッサンに淡い色がつけられているが、
この描き方は人の哀しみ悼みや想い、やさしさが、より一層表現されている気がする。
絵の中で風の動きが感じられるのもすごい。
1000の風、それぞれが奏でるチェロには、それぞれの経験・ものがたりがある。
それらが重なり奏でる演奏を聴いてみたい。
本当に素敵な絵本だと思う。
いせひでこさんのあとがきより
人間の形をした楽器 人間の声で歌う楽器-チェロ
チェロを弾く人の姿は、私には
人が自分の影を抱きしめているようにみえてならない
この作品の中にもグレイがいた。涙が出た。
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幼い子は微笑む 長田弘 いせひでこ2017.09.01 Friday
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「幼い子は微笑む」詩・長田弘 絵・いせひでこ 講談社
見事なコラボレーションに感動するばかり。
謙虚さの中に強さを含んだ言葉。
淡くて優しい中にもメッセージを発している絵。
大人が読むべき絵本
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